source: gigazine.net / wired.jp
医療機器メーカーのセカンド・サイト社が開発した人工網膜デバイス「アーガスII」が、アメリカの食品医薬品局(FDA)からの認可を2月14日に受けました。すでにヨーロッパでは利用可能でしたが、今回の認可によって、アメリカでも約10万人いるという網膜色素変性症患者で、視力が落ちた人の助けになれる可能性が出てくることになります。
Second Sight
http://2-sight.eu/en/home-en
Second Sight Announces FDA Approval
http://2-sight.eu/landing-fda-l
World's First Bionic Eye Receives FDA Approval | Popular Science
http://www.popsci.com/technology/article/2013-02/worlds-first-bionic-eye-receives-fda-approval
オハイオ州クリーヴランドにある医療センターUniversity Hospitals(UH)の発表によると、最終段階の網膜色素変性症である人を視覚をもたらす「バイオニック・アイ」が、2013年中に米国の12市場で入手可能になり、UHでも提供を行うという。
このバイオニック・アイは米国のSecond Sight社が開発した「Argus II」というものだ。白、黒、グレーによる50~60ピクセルのイメージをコントラストによって患者に見せる。
機能としては蝸牛インプラント(人工内耳)に似ている。受け取った情報を処理して電気信号に変え、身体の適切な部分を刺激することで、視覚体験をシミュレートする。
Argus IIは小型映像カメラを内蔵したメガネとセットで機能する。記録された映像は腰に装着した機器で処理され、ケーブルを通ってメガネに戻され、メガネからアンテナによって眼球の中にあるArgus IIへと送られる。Argus IIは信号を電極列に送る。信号は損傷した細胞を迂回して、網膜にある生きている細胞を刺激し、視神経を伝わる。こうして脳が光のパターンを見るわけだ。
信号とディスプレイは、カフェによくある「OPEN」というLED看板くらいの解像度だ。Second Sight社のデモ動画(冒頭の動画)では6×9のディスプレイに、開いたドアが長方形の3辺として描き出されている。
『Popular Science』誌によると、Argus IIはだいたい視力20/1260(約0.01)に相当し、患者は自分の前に物があるかないか、それがどこにあるのか、そしてそれが動いているかを識別できるという。色覚といった次世代のインプラントはまだ数年先だ。
※Argus IIは2013年2月に食品医薬品局(FDA)からの認可を受けたが、ヨーロッパでは2011年から許可されていた。Argus IIの電極数は60個だが、オーストラリアの共同研究チームは98個の試作品を開発中で、最終的には1,024個の試作品を作製する計画(日本語版記事)だ。