source: biz-journal.jp
(前略)
先ほど紹介した機械を使用しての検査は高額ですが、もっと簡単なうつ病の検査方法も登場し始めています。唾液からストレスにまつわる分泌物を調べ、それを数値化するというものです。
身体ストレスの負荷が高いと、脳が非常事態警報を発して副腎皮質からコルチゾールというホルモンの分泌が促されます。そこで、採血してコルチゾールの血中濃度を計ればストレス数値としてわかりやすいが、いちいち採血するのは採るほうも採られるほうも大変です。
近年、コルチゾール血中濃度は唾液中のコルチゾールに反映されることがわかってきたので、ガムをかむような要領で唾液採取用のスポンジに唾液を染み込ませるだけで検査が可能となりました。これなら痛みも伴わないし楽です。
もう一つ、唾液でストレス状態を調べる方法があります。それはクロモグラニンAという物質を測定するのですが、この物質は副腎髄質から放出されるアドレナリンの量と関係しています。アドレナリンは精神的ストレスの程度と関係が深い物質で、以前から注目されていましたが、アドレナリンは代謝が早く、刻々と濃度が変化することや、採血のときの痛み刺激だけでも濃度が変化するので測定が難しく、有効な数値はなかなか出せませんでした。
しかし、唾液中のクロモグラニンAという物質は、比較的安定で副腎髄質からアドレナリンと一緒に放出されるので、アドレナリンの濃度そのものよりアドレナリンがどのくらい出ていたか、ある意味、興奮やストレスの蓄積状態を示し、転じてストレスの度合いを推し量りやすいのです。
そして現在、いくつかの病院で行うことができる検査として、グロモグラニンAをはじめ数種類のうつ病と因果関係のある成分を分析、数値化することができるようになってきています。あくまでストレス状態を数値化するだけのもので、うつ病診断にそのまま使えるわけではありませんが、費用も5000円以下で、何よりも唾液を採取するだけなので、痛みもありません。
筆者も患者さんからの要望で、確証が欲しいといったリクエストがあった際には提案することにしています。
まだ取り扱っている病院は少ないので、診断を受けたい場合は、最寄りの病院に事前に問い合わせてみるといいでしょう。