source:  wired.jp ある男性が、自分の耳に磁石を埋め込み、「見えないヘッドフォン」を作成した。「トランス・ヒューマニズム」(新しい科学技術を用い、人間の身体と認知能力を進化させようという思想)をDIY精神で実現しようとする試みだ。 自称ト...

8:55 by aceartacademy
source: wired.jp






ある男性が、自分の耳に磁石を埋め込み、「見えないヘッドフォン」を作成した。「トランス・ヒューマニズム」(新しい科学技術を用い、人間の身体と認知能力を進化させようという思想)をDIY精神で実現しようとする試みだ。

自称トランス・ヒューマニストで、身体改造の愛好家であるリッチ・リーは、DIY投稿サイト「Instructables」で見たアイデアにヒントを得た。それは耳の中に小さな磁石を入れ、アンプと接続したネックレス型の磁気コイルで振動させるというものだった(リンク先に動画あり)。違いは、リー氏は磁石を耳に入れるだけでなく、身体に埋め込んだという点だ。

コイルネックレスは洋服の下に完全に隠れているし、埋め込みによる傷もわからない。だから、目の前に立っている相手に、自分は音楽を聴いていると気づかれないことも可能だ。「Google Glass」で使っている骨伝導を連想させる。

このイヤホンには別の使い道もある。リー氏は「h+」誌で自分の計画を書いている。「スマートフォンのGPSと連動させれば、街を歩くときにナビしてもらえる。何らかの指向性マイク(シャツのボタンか何かに似せたものなど)と接続すれば、部屋の向こうで交わされている会話を聞くことができる。スマートフォンを介してマイクをつなげば便利だろう」

超音波距離計と組み合わせることで、コウモリのような反響位置決定能力を身につける計画もある。物体が近づいてくると耳の中でうなるような音が鳴り、離れれば静かになるわけだ。リー氏にとってこれは大いに理にかなったシステムだ。そう遠くない将来に自分が視力をほとんど失うことになると、リー氏にはわかっているからだ。

「声の強弱を分析するアプリを使って、相手がウソをついているときはそれを感知することもできるだろう。ハードサイエンスとは言えないが、ポーカーをするときや、取引するクライアントを事前選定するときには何かと便利だと思う。壁の向こうの声を拾って聞けるようにするコンタクトマイクもあり、次のインプラント計画になっている」

「放射線測定器をつないで、放射線の世界を体験してみたい。ネヴァダ州の古い核実験場の近くに住んでいるので、そのチャンスはたくさんある。ハイキングの途中でイエローケーキ(ウラン精鉱)を見つけてもかまわない。それは高価なものだから」ともリー氏は書いている。「温かいものに近づいたらシューというやさしい音が聞こえるシステムも考えられる。温度の領域を経験する新しい方法になるだろう。このインプラントはたくさんの新しい感覚を可能にするのだ」

ただし、テストされていないことはまだたくさんある。たとえば耳の中に指を入れるといったほかの要因で、リー氏が経験する音が変化するということもある。予想を超える強力な磁石のそばを歩かないようにすることも、とても重要だ。