source: commonpost / karapaia
他人の手足や臓器を移植する医療技術が進歩し、今やサイボーグ技術や動物の体内で臓器を作り出すといった試みが行われている現代。これだけのことができるなら、人間の頭を切り離して他人の体とくっつけることができてもおかしくありません。そしてそれは実現しようとしています。
頭を切り離して別人の体にくっつけるという頭移植手術プロジェクト、コードネーム「HEAVEN/GEMINI」を現実のものとしようとしているのは、イタリア・トリノにあるアドバンストニューロモデュレーショングループの研究者セルジオ・カナベーロ博士。セルジオ博士は、研究論文の中で頭移植手術についての概要と実現可能性を説明しています。
セルジオ博士によると、1970年代にアカゲザルを用いた動物実験で世界初の頭移植は成功しているといいます。しかし当時の技術力では、背骨を脊髄を上手くつなぐことができず完全に成功したとは言えませんでした。そしてアカゲザルは、8日間を生き延びたものの合併症によって死んでしまいました。
ところが現代においては、体を低体温状態にする技術を用いて頭を切断して体に血管を縫合する時間を確保し、「fusogen」と呼ばれる特殊な膜融合物質を用いることで、脊髄をつなぎ合わせて頭と体を合体させることができると説明しています。
手術中、体の頭は”眠った状態”となり、頭は12℃~15℃という低温保存されます。また、首の切断にはメスを使うとのこと。
この手術を行えば、体が全く動かせない筋ジストロフィー患者などが自由な体を手に入れられることはもちろん、遺伝子疾患者、ガン患者、治療法が見つかっていない疾患を患う患者など、臓器移植で助からないような容態でも体の交換によって健康を取り戻すことができます。また体を提供するドナーは、脳死状態となっている患者を用いるといいます。
セルジオ博士によると、この処置には100人以上の医者が関わり、全ての処置に36時間を超える大手術になるとのこと。治療費は、850万ポンド(約12億5000万円)を要するといいます。
体全部を交換するというと不気味で突拍子もないことのように思えますが、臓器を移植することが実現している現代ではその延長線上には体交換があっても不思議ではありません。『フランケンシュタイン』では、死体の体のパーツを組み合わせて怪物が生み出されましたが、そのうち体を挿げ替えた人間や他の動物と合体したキメラが誕生するかもしれませんね。