source:  karapaia 米ワシントン大学の研究チームは、電極のついたヘッドギアを装着し、脳インターフェースを通じて、一人の脳信号をもう一人の脳に送信することで、もう一人の腕の動きをコントロールするという実験に成功した。 これまで...

13:36 by aceartacademy
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米ワシントン大学の研究チームは、電極のついたヘッドギアを装着し、脳インターフェースを通じて、一人の脳信号をもう一人の脳に送信することで、もう一人の腕の動きをコントロールするという実験に成功した。

これまでラットとラットによる実験、ラットと人間による実験は成功しているが、人間と人間での実験で成功したのは初めてだという。

この実験は、ラジェシュ・ラオ教授とアンドレア・ストッコー助教授が自ら実験台となり行われた。2人はワシントン大学キャンパスの離れた場所に移動。送信者であるラオ教授は電極のついたヘッドギア、受信者であるストッコー教授はコイルのついたヘッドギアを装着した。それぞれのヘッドギアはパソコンを介してインターネットでつながっている。受信者はパソコンのモニターが見えない位置に座り、耳栓をつけた。

ラオ教授は、ゲーム画面を見ながら、「標的を撃つ」とイメージすることで脳波を出す。すると、受信者であるのストッコー教授の指が本人の意志とは関係なく、「標的を撃つ」為の発射ボタンを押したという。

ラオ教授は「私が頭の中で考えたことが、別の人間の脳に伝えられ、実際の行為となって現れたことにはとても興奮したが、同時に恐ろしくも感じた」と感想を語った。

ラオ教授は過去10年間に渡り、ブレインコンピューターインターフェース(BCI)の研究を続けてきた。一方のストッコー助教授は心理学のリサーチ研究を進めている。異分野の2人が手を組むことでBCIに明るい展望が見えてきたのかもしれない。ラオ教授は、「今は通信が一方通行なので、双方向でできるように研究したい」と語っている。

この研究が進めば、麻痺によって自らの意志を伝えることができない障害者が、脳シグナルを使って自分の意思を他人に伝えることができるようになったり、航空機のパイロットが操縦不能な状態に陥った場合にでも、遠隔地からの指示によりフライトアテンダントが操縦を代わることができるようになったりと、人類にとって大変役に立つ可能性を秘めている。また、脳シグナルを通じて意志を伝える為、話す言語が違っても意思の疎通をとることも可能だ。

その一方、他人の脳を支配し、例えば自分の思い通りに動く兵士などを生み出してしまう可能性を懸念する研究者もいる。更には自分の思考を読み取られてしまうのではという心配もある。

ラオ教授によると、現状、判ることは人間の単純な脳信号だけであって、他人が考えていることまでは判らないと言う。いずれにせよ実験はまだ始まったばかりだ。今後は第三者も介入させ、さらなる研究を進めていくという。