source:  gigazine.net 3Dプリントの技術は単にフィギュアなどのオブジェクトを作るだけではなく、食糧問題の解決手段として考案されたり、家の建設を行うほか、生体組織と似た機能を果たす組織も作られていますが、新たに本物の心臓を作る研究が行わ...

8:50 by aceartacademy
source: gigazine.net







3Dプリントの技術は単にフィギュアなどのオブジェクトを作るだけではなく、食糧問題の解決手段として考案されたり、家の建設を行うほか、生体組織と似た機能を果たす組織も作られていますが、新たに本物の心臓を作る研究が行われており、それによると今後10年で3Dプリンターを使った心臓が完成・臓器移植が可能になると言われています。

Lab-Made Heart Represents 'Moonshot' for 3D Printing | LiveScience
http://www.livescience.com/41280-3d-printing-heart.html

Louisville Researcher, Stuart Williams, Ph.D., is Closing in on Printing 3-D Hearts « Cardiovascular Innovation Institute (CII) Cardiovascular Innovation Institute (CII)
http://cv2i.org/louisville-researcher-stuart-williams-ph-d-is-closing-in-on-printing-3-d-hearts/

3Dプリンターを用いて心臓を作るというアイデアは心循環系イノベーション研究所(CCI)のスチュアート・ウィリアムズさんによるもの。研究所は既にこの次世代3Dプリンターの開発に着手しており、プリンターが完成すれば心筋・血管・心臓弁などから構成される完全な心臓を作ることが可能。「心臓の個々のコンポーネントはすでにプリントアウト可能ですが、我々は最初から心臓を作り上げる次世代の3Dプリンターを作っているのです」とウィリアムズさんは語りました。

再生医学の分野において3Dプリンターでの臓器作成を行う研究者たちにとって、心臓の3Dプリントは大きなゴールの1つです。3Dプリンターを用いて細胞を層のように重ねた組織で肝臓や腎臓の小さな固まりを作る技術は既に確立されており、多くの場合これには骨髄や脂肪から採取した幹細胞が用いられます。ウィリアムズさんの作る人工心臓はこの技術と同じく脂肪から採取した幹細胞を利用したもの。


ウィリアムズさん率いる研究所は3Dプリンターで各パーツを作るところから開始し、これらのパーツを組み合わせることで一週間で完全に機能する心臓を作られる予定です。バイオ心臓を作る際にウィリアムさんは「心臓を大きな飛行機のように組み立てたらどうだろう?」と同僚に持ちかけ、最善の方法は臓器を別々のコンポーネントに分けて作って、それを組み立てることだと結論づけました。

この心臓を作る際に最も難しい問題が血管の作成。臓器を機能させるため、標準サイズの臓器の作成する際には非常に複雑な網状の血管を作る必要があります。3Dプリントの技術で細かな血管を作ることができれば理想的ですが、現在の3Dプリンターで出力できるのは小さくても数ミリの構造物で、一方、血管は細かなものになると数ミクロンの細さです。1ミリメートルは1000ミクロンなので、この差はかなり大きいと言えます。そのため、ウィリアムズさんらは3Dプリントではなく細胞の持つ自己組織化を利用して網状の血管を作り出し、最終的に3Dプリンターで出力した臓器と接続させるという方法で臓器作成を可能にする予定。「数十ミクロン、あるいは数百ミクロンのものを3Dプリンターで作り、自己組織化によって細胞を発達させる」のだとウィリアムさんは説明します。

多くの研究者らは3Dプリントされた標準サイズの臓器が今後10~15年で実現するとは考えていませんが、CIIは10年後の完成を目標に人工心臓の研究を進めています。ウィリアムさんによればこの「バイオプリンター」は12月から動き出す予定です。